兵庫県 西脇市
播州織のふるさとをたずねて

豊かな自然と水に囲まれた北播磨地区に
日本を代表する織物
「播州織(ばんしゅうおり)」の
ふるさとがあります。

加古川 杉原川 野間川の豊かな水の流れは
糸の染めに適した軟水に恵まれ、
このあたり一帯は、糸を先に染め、
染めた糸で柄を織りあげていく
「先染織物」の産地として栄えました。

播州織は、糸を染めてから織り上げることで
深みのある豊かな色味や風合いが魅力です。

coccaではプリントとは異なる
織物の魅力をお伝えしたいという想いから
オリジナルの播州織の生地作りに挑戦しました。

今日はcoccaの先染め織物のふるさと、
西脇市にある工場を訪ねて播州織の
ものづくりのうらがわをお届けします。

 播州織とは 

播州織は今から約220年前の江戸時代中期に宮大工の飛田安兵衛(ひだやすべえ)が京都の西陣から織物の技術を北播磨に持ち帰ったのが播州織のはじまりといわれています。

西脇市を中心に北播磨地域で糸染めしてから織られ、加工された上で一定の品質基準を満たされたものだけが「播州織」となります。

 播州織ができるまで 

播州織は作られる工程にも特徴があります。
生地ができるまでには大きく「糸の染め・織り・後加工」の3つの工程があり、播州織はそれぞれの工程を西脇市内の工場から工場へ、人から人へと巡りながら生地が出来上がっていきます。

 糸を染める工程

[糸の染色]
布を織るためにはまず糸が必要となります。
はじめに綿や麻から紡がれた原糸を染色工場で染めていきます。

まずはビーカーで染色の配合や色のテストを行いながら、色のベースを作っていきます。
色づくりでは過去に染められた糸の配合も参考にしながら調合を行います。

糸は綿花の収穫時期によって同じ生成りでも色はさまざま。
その時々の原糸の状態にあわせて最終的には人の目で見て、色を配合し調整を行っています。

工場の一角には今まで調合された糸のサンプルが保管されていました。
美しい発色の糸がずらりと並ぶ姿は圧巻です。

ビーカーで色のテストが終わると、次は原糸を大きな染色釜で圧力をかけながら色を染め、定着させていきます。

 

とても繊細で難しい色の調整は、長年の経験を積み重ねる中で培われた職人ならではの感覚と技術の賜物。 機械だけでは再現できない部分を人の手で作り上げていきます。

coccaでは今回やさしくニュアンスのあるブルーに糸を染めていただきました。

糸が染め上がると次はいよいよ織りの工程へ。
糸は機屋さんへ運ばれていきます。

 織りの工程

[織り]
ガチャン、ガチャンと一定のリズムを刻む織機がずらりと並ぶ機屋さん。
ここで糸から布へと形を変えていきます。

染工場で染められた糸は、織る図案に合わせて櫛(くし)のような形をした筬(おさ)にタテ糸を2本ずつかけていきます。

かける糸の本数はなんと2700本。
一本一本人の手でタテ糸をかけていく作業は想像しただけでも眩暈がするほど。
時間をかけてタテ糸のセットが終わるといよいよ織りが始まります。

織機の横から弓が出て糸を引きとり、タテ糸とヨコ糸が交差しながら少しずつ生地が織られていきます。

糸は織る最中に切れてしまうことも。
織機が止まると手作業で糸を繋いでいきます。

織りあがった生地はいよいよ最後の加工工場へと送られていきます。


 最後の工程

[最終加工]
加工工場ではまず、織りあがった生地に不純物が混ざっていないかや寸法を目視で確認を行います。
確認が終わったら、糊がついた状態を洗って落とし、後加工の工程へ。

後加工では、よりやさしくナチュラルな風合いになるよう、大きな筒にいれてもみ洗いをするワッシャー加工をお願いしました。
洗いが終わったら生地を乾かして、再び人の目で生地の状態の確認を行います。
チェックが終わるとようやく生地の完成です。
 

人から人へ、たくさんの手が加わってcoccaの播州織はできました。

coccaの播州織

長く使うほどに味わいの出る
先染めチェックとストライプ

先染めの技法ならではの味わい深い色合いと綿麻のナチュラルな風合いが魅力的なテキスタイルです。

ニュアンスのあるカラーと優し気な素材で、主張しすぎず品の良いチェックとストライプの2柄をお作りしました。


洗うたびにふっくらやわらかくなるテキスタイルはお洋服に仕立てると、着るほどに肌に馴染み、だんだんと違った表情に変化していきます。

生地の端をほどいて、ぱさっとそのままテーブルクロスやカーテンにするだけで、なんだかウキウキするお部屋に。

織物ならではの温かくやさしい色合いは、そっと日々の暮らしに馴染んでくれます。
ぜひ手間ひまかけて作られたとっておきのテキスタイルを手に取ってみてください。

取材協力:播州織共同組合